ここでは初心者の方が購入相談をされることが多いですね。雑誌や入門書などにもよく選択について書かれていますが、それとはちょっと違う観点から書いてみました。
私の考えるスピーカ選びは嫁さん選びに似ています。もちろんスピーカ選びを恋人選びと考える方もいて、ウチをハーレムにされている方もいらっしゃるでしょうね。特にそういう方には反論を書いて欲しかったりします。私の場合正妻は絶対一人。愛人(スピーカです!)は一人いますがあくまで愛人です。
1.書類選考
オーディオ誌に乗っている評論家の評価は、嘘じゃないがあくまで仲人口。良いことは書くが悪いことは書かない。「室内楽が美しく鳴る」とあれば「大音量は苦手か?」と裏読みし、「目の前で楽器が鳴っているような定位」なら「ツィータの指向性がシャープ過ぎるのでは」と疑うことが必要。本当は付き合ってみなくてはわからないのだが、現実には書類選考であるていど絞っておかなくてはね。大切なのはここで絞りすぎないこと。雑誌の評判を鵜呑みにしないこと。いくら尊敬している人の勧めでも、自分の結婚相手くらいは実際に会って自分の意志で決めるでしょう?
信頼できるのは実際に使っている人の評価。そこで聴かせてもらうのが最高です。
2.店頭での試聴は集団お見合いと同じ
こういうところでは、はきはきした(中高音に癖が合ったりする)声の大きい(能率が高い)美人(見た目が派手な)が目についてしまう。おとなしくて声の小さい目立たない娘は隅に追いやられてしまってるかも。それにこんな席(きちんとセッティングされていない)では緊張して実力を発揮できないかも。できれば外に連れ出して二人きりになりたいけれど、なかなか難しいかなあ。
3.贅沢か
100万以上のアンプでなければまともにならないとか、大音量でないと実力を発揮しないのでリスニングルームが必要とか、30畳くらいの天井の高い響きの良い部屋で鳴らしたいとか、そんな贅沢なやつは私は買えない。分不相応。下手をすると無理なローンを組んで結局手放す羽目になるかも。
4.選好みが激しくないか
「JAZZは鳴るのだがクラッシックはダメ」くらいならともかく、「女性ボーカルは良いのだがそれ以外は…」になるとそれ以外のものは聴けなくなってしまう。そのうち他の音楽も鳴るスピーカに浮気して、聞く音楽の趣味も変わってしまい、邪魔者になってしまうかも…。それじゃあんまりかわいそう。
5.健康か
壊れていないのは当然だが、壊れやすいという評判のあるものは注意が必要。
6.実家はしっかりしているか
スピーカはそうそう壊れるものではないが、ツィータを飛ばしたりエッジやコーンを補修する必要が出てくることもある。とっても良い音で鳴っていたのに、壊してしまいメーカに部品が無くて修理不能ということもある。つぶれない、アフターサービスのしっかりした実家が望ましい。
7.自分と釣り合いが取れるか
すばらしいスピーカだが使いこなしが難しい、と評される製品。貴方に本当に使いこなす実力があるのか。○○さんのウチではすばらしい音でなっていたからといって、○○さんと同じ装置でそろえたからといって同じ音が出るとは限らない。自分の実力のちょっと上くらいなら試行錯誤も面白いが、ずっと上なら実力のある人にセッティングしてもらい、以降触らないことになる(触るとロクなことが無い)。これじゃつまらないでしょう?
8.彼女と生活が出来るか
彼女は貴方の部屋にすんなり納まるのか、リビングの家具調度とマッチするのか。スパイクを立てて絨毯や床を穴だらけにしないのか。小さい赤ん坊はセンターキャップを潰したがらないか。貴方の生活の変化に応じてついてこられるか。狭い都会のアパートに入るか。安普請の建売住宅でも鳴るのか。だいたい貴方にそんなところでも鳴らせる実力があるのか。
神経質な音ばかり出さないか。高分解能な音ばかりで聴かされていては疲れてしまう。貴方の音楽の趣味だって変わるかもしれない。貴方の同居人の好きな音楽もそつなく鳴らして欲しい。貴方の生活や趣味の変化を共に楽しめるか。
家人の賛同は絶対必要。貴方のスピーカも家族の一員なのですから。
9.初心者に×1はどうかなあ
上級者なら×1も悪くないのだが、初心者はそれなりに覚悟が必要。掘り出し物か傷物かを見分ける自信が無いのなら避けておいた方が…。それに中古なんだからとスピーカのランクを上げると、結局アンプも買い替えが必要になる場合もあります。
10.それでも惚れてしまったのならどうしようもない。
鳴らしにくかろうが、図体が大きすぎようが、デザインが家具とマッチしなかろうが、分不相応であろうが惚れてしまったのならしょうがない。どうしても家人の賛同を得られないのなら、駆け落ちも辞さない覚悟が必要。この際それだけの覚悟をするだけのモノなのかを冷静に見つめなおすのも良いこと。時には「所詮この娘とは縁が無い」と諦めるのも肝要。
11.結婚生活には我慢も肝心
購入した瞬間からすばらしい音を出すことはまず無い。エージングも必要だし、ケーブルや部屋の音響条件もいじってやらなくては。買う前は気づかなかった彼女の欠点も目に付いてくるけど、あらを探すのではなく補ってやる方向で対策を考える。彼女が得意とするジャンルだが貴方が好きでない音楽を聴いてみるのも良し。貴方がその音楽を気に入るかもしれないし、彼女の別の魅力がわかるかも。
結論を言えば、スピーカ選びは
(1)貴方のライフスタイルは何か、という問題と結び付いている
(2)選んだスピーカは貴方のライフスタイルになにほどか影響を与える
ということです。ですから絶対自分の耳で決めて欲しいし、どんなに立派な人の忠告でも時には雑音として退ける意志が必要です。
上級者の方はここに書いてあるようなことは重々承知しているのですが、説教臭くなるのであまり口には出しません。それとも、みんな失楽園状態なので口に出来ないのかもね。
この記事は【TOMO】さんに提供していただきました。