Y/C分離機能について


松永さんにY/C分離機能とS端子についての解説を頂きました。掲載の許可が頂けたのでここで紹介いたします。

まず、テレビ(NTSC)信号では、Y信号(輝度)、C信号(色)を同じ周波数帯に載せています。
Y/Cの分離機能について、いろいろ騒がれるのは、別々に送るべきY/C信号を、周波数帯域の狭さから、同じ周波数に載せてしまったことにあります。
Y信号は明るさを表し、C信号は色を表します。
昔のテレビは白黒ですが、これはY信号のみを受信し、表示するようになっているためです。
カラーテレビと白黒テレビの互換性を持たせるためにC信号は、Y信号のすき間に載せてあります。

Y/Cの分離方法についてですが、いくつかの方法があります。
主にBPF(バンドパスフィルター)型、ライン相関(くし形)、フレーム相関(3次元)型に分けられます。

まず、BPF型ですが、
Y成分は低い周波数に多く、C成分は高い周波数(3.58MHz +-0.5MHz)付近に集中していることを利用して、フィルタを用いて
低い周波数=Y信号 約3.58MHz以下
高い周波数=C信号 約3.08MHz以上
とするものです。
利点は、回路が簡単であることです。
欠点はフィルタで分けただけなので、Y成分の高周波成分がカットされてしまい、3.58MHz*80=286.4本以上に解像度を上げられないという欠点があります。(大画面TVには向かない)
また、C信号にY信号も混じるので解像度の高い部分に色ノイズがのる場合があります。
このノイズはおもに白黒映画に色がついたり、ネクタイの縦縞の部分に色がついたりといった感じで画面に表れます。
現在ではこのBPF型のみのものはほとんど使用されていません。

ライン相関型(くし型)ですが、
C信号が常に1H(水平1ライン)ごとに反転していることと、上下1Hの信号が似ていること(ライン相関)を利用してY/C分離を行います。
難しい説明は省きますが、
1H前+1H現在=Y信号
1H前-1H現在=C信号
となります。これが2ライン型の基本原理です。
1H前+1H現在+1H後=Y信号
1H前-1H現在-1H後=C信号
となる、3ライン型もあります。
利点は、解像度を上げられる。色ノイズが減るといった利点があり、明らかにBPFに比べて優れています。
欠点は、時間軸を利用するため、ジッタなどの変動成分があるとうまく動作しない(ビデオなど)。
回路が複雑(遅延回路が必要)。
ライン相関の成り立たない画面ではドット妨害、色ずれ(Vダレ)
などが発生する。
またBPFと組み合わせた物(適応型)などもあります。

フレーム相関型(3次元型)は、
クリアビジョン、ハイビジョン、大型ワイドTV、高級ビデオデッキ、高級LDプレーヤなどに採用されています。
これは1F(フレーム)前の画面と1F後(現在)の画面が似ていることを利用してY/C分離を行います。
難しい説明は省きますが、
1F前+1F現在=Y信号
1F前-1F現在=C信号
となり、これがフレーム相関型の基本原理です。
利点は、ライン相関の成り立たない画像でもY/Cをうまく分離できる。
といった利点があります。
欠点は、フレーム相関のない画面では役に立たない。
回路がさらに複雑(フレームメモリが必要)。
また、残像などの副作用が発生することもあります。
このためフレーム相関のモデルはライン相関の機能も持っており、画面によってこれらの回路を切り替えて(適応型)Y/C分離を行っています。

S端子について、
よく誤解されるのですが、S端子=S-VHS端子ではありません。
S端子=Separate(Y/C)端子です。
民生用として初めて採用されたのはS-VHSのHR-S7000だったと思います。
なぜS端子が必要かというと、BPF形では解像度を約280本以上上げられないという問題があり、ライン相関型にしてもジッタの多いビデオデッキでは解像度を上げることが難しく、Y/Cを独立して記録するビデオデッキではY/Cセパレートの端子を設けることにより、効果的に解像度アップが出来るためです。
つまり、S端子を用いると効果的なのは、Y/Cをあらかじめ独立して記録あるいは作り出せるものに対して有効です。
つまりゲーム機、ビデオ、ビデオCD、VHDビデオディスクなどです。
これらを接続するときは、なるべくS端子を使用しましょう。
またビデオのダビングなどで、S端子を使うときれいにダビングできます。
S端子の弱点は端子が貧弱であること、製品によってYとCの時間軸にずれがあり、色が水平方向にずれる場合があります。

ではなぜY/C混合記録のLDにS端子が装備されたのかという問題ですが、いくつか理由が考えられますが、おそらくライバル(だった)VHDがS端子を付けたためだと思われます。
現在、安価なLDプレーヤ搭載のY/C分離回路はほとんどライン相関型です。
このため、クリアビジョン、ハイビジョン、大型ワイドビジョン、高級ビデオデッキなどのより優れたY/C分離回路を持つモデルでは、VIDEO端子を利用したほうが、高画質となります。
現在売れ筋のテレビは大型のワイドビジョンであり、LDの売れ筋は安価なモデルなので、どちらかというとVIDEO端子で接続したほうが高画質なのではないかと思われます。
ただし安価なS端子付LDプレーヤの中には、Y/Cを分離したものを再び混合したものをVIDEO端子として出力しているものもあり、要注意です。
様々な組み合わせが考えられるので、S端子、VIDEO端子両方でためしてから、気に入ったほうを選ぶのが良いのではないかと思います。

この記事は松永克雅さんに提供していただきました。

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