スピーカーに関する基本的なお話


スピーカー(SPと略します)は、ステレオシステムの音を決める最大の要因です。しかも、一番原始的な構造をしていますし、発達もしていません。ですから、これほど歪みが多く多種多様な音を持っているものはありません。だからこそ面白いと言えます。今回はSPのカタログを見る場合に、どのように見ていったら良いかを書いてみたいと思います。

まず、SPユニットの口径や、数があります。理想的なSPユニットですと、一つで人間の聞こえる音すべてを再生できるはずですが、そんなことはありません。

たとえば、小さいうちわをいくらゆっくり動かしても風は起きませんし、大きいうちわを速く動かすには、ものすごい強度と力が必要になってしまいます。これはSPユニットにそのまま当てはまり、低音は小さいSPユニットからは出てきませんし、大きいSPユニットで高音を出そうとするとボイスコイルの動きにSPの振動板の質量と強度がついていけず、振動板の分割振動が起こってしまい、何やら訳のわからない高音らしき物が出てくるだけになってしまいます。

ですから、低音の方は大きい振動板のSPに任せて、高音の方は小さい振動板のSPに任せる、という考え方が出てきます。振動板の分割振動を拒否する考え方から言うと、SPの数は多いほうが良いわけですが、今度は、SP間のつながりの部分が増えていきます。この部分では、二つのSPユニットより音が出てきますので、干渉したり色々いやな事が起こります。ですから、この部分は少ないほうが良い。で、現実的な意味で、2つないし3つ位で収まります。

次には、SPユニットの形式があります。コーン型、平面型、ドーム型、ホーン型、コンデンサー型、リボン型、イオン型、マンガーやハイルドライバー、その他いろいろあります。また、振動板にも色々あります。紙、金属、木、プラスチック、ゴム、ボロンやダイア。それらの複合素材。それぞれ音の傾向は違います。また、設計でもかなり音が変わってきますから、好きなのを色々聞いてみて、音の違いを実感してください。要は、気に入った音が出れば、それが一番だよということです。

次にエンクロージャー(SPユニットを入れる箱)形式があります。平面バッフル、後面開放箱バックロードホーン、フロントロードホーン、共鳴管、バスレフ、密閉、エアサスペンション、などなど、色々な形式があります。そして、これらの形式は、いかにして低音を再生するかと言う大問題を何とか解決しようとして考え出されました。

現在、商業ベースではバスレフ、密閉、エアサス位が利用されていますが、何が良いかは人それぞれですから、かまいません。低音の大体の傾向としては、密閉は、量感は出ないが質感と延びはでます。バスレフは量感や躍動感は出ますが、延びはあまりありません。また、位相の整合を考えた物もありまして、そういう物は面白い形をしています。

また、正面のSPユニットの取り付けられている面(バッフル面)は大きいほうが音の密度や押し出しや中低音の量感は出てきますが、定位感や音場感は悪くなります。また、角の丸みがあるものは、定位感や歪み感が改善され、エンクロージャーに平行面の無い物は、箱の中の定在波の影響が軽減され、すっきりとした低音が再生されやすくなります。

次に周波数特性ですが、これほどいいかげんなものはありません。基準となる値からどのくらい下がったところまでを含めるかによって、まるで変わってきます。たとえば、60-19000HzのSPの方が32-25000HzのSPよりもワイドレンジだという事もありえます。ですからこれは参考程度にしてください。部屋へのセッティングでもまったく変わってきますしね。ただし、45-20000Hz(+1db、-3db)などと書いてあるものは、どのくらいの範囲を言っているのか明示しているわけですから、参考になります。

耐入力ですが、これもいいかげんです。「連続」と書いてある場合は、連続してその入力を入れてもいいと勘違いする人が多いと思いますが、シンセサイザー音や純音の様なものをしかも、ツイーター帯の音を入れてしまうと、一発でおしゃかになります。逆に、ピーク50WのSPに瞬間的に100Wを投入しても、大体は大丈夫です。ですから、大体の目安にしかなりません。

まあ、10WのSPに10W連続していれるなんてことをしなければ、ほとんど問題になりません。また、アンプの出力と合わせる必要もありません。近頃はメーカーの推薦するアンプ出力が書いてある場合がありますが、あれはまあまあ参考になります。特に最低ラインは参考になります。と言うのは・・・・・

能率です。これは十分に考えなくてはいけません。というのは、ドライブするアンプの出力によって、どのくらいの音量が出るか決まってくるからです。たとえば、SPの能率が85dbで、SPから2mの所で聞いていると想定します。距離が倍になると6db落ちますから、視聴位置での音圧は79db。

この値は、平均的な再生音のレベルでして、音楽の強弱によって、もっと大きな音が必要になります。この幅を20dbと考えますと、その場合のアンプの出力は100W必要になります。これが、SPの能率が5db落ちてしまうと、同じ音を出すのに316.2W必要になりますし、能率が5db上がりますと、31.6Wで十分になります。

アルティックのマイルストンあたりの100dbクラスになりますと、3.2Wで済んでしまいます。

まあ、100dbと言う音は、よっぽどでない限り出しませんが、視聴距離が2mじゃ無く、3mになってしまうと、出力は2倍になりますし、4mになりますと、4倍になってしまいます。

こういう事から考えると、能率の高いSPほど、アンプの負担は少なくなるし、細かい音が出て来やすくなると考えられます。

この記事はむーぱぱさんに提供していただきました。

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