rec.audio.* FAQ

16.0 ケーブル

スピーカーケーブルや機器間のケーブルについての質問は非常に多く、現在 rec.audio.* に寄せられる多くの投稿はこれらに関する意見や体験です。議論は刺激的で参考になるものも多く、なによりこの議論は面白いものです。これから投稿しようと考えている方は、ぜひ他人を侮辱したり感情的になったりしないようにルールを守って投稿して下さい。また同じ意見や体験を繰り返して投稿することを避けるようにしてください。
16.1
スピーカーケーブルは重要ですか?
16.2
スピーカーケーブルにはどんなものがあり、どれがお薦めですか?
16.3
コスト・パフォーマンスの良いスピーカーケーブルはどれですか?
16.4
コスト・パフォーマンスの良いスピーカーコネクターはどれですか?
16.5
機器間(アンプと CD プレーヤー間など)のケーブルはどんなものがよいですか?
16.6
フォノ入力のケーブルはどんなものがよいですか?
16.7
デジタルケーブルの種類による音の違いはあるのでしょうか?
16.8
ケーブルを自作すれば良いものは出来ますか?

16.1 スピーカーケーブルは重要ですか?

混乱と繰り返しを避けるために、ここでいくつかの専門用語を定義しておきます。ケーブルとは導線とコネクターが組みあわされたものを指します。ケーブルは一般に複数の芯線と絶縁体で構成され、ものによってはシールド処理が施されています。ケーブルを通る信号にはノイズが入りやすくなっていますし、ケーブルには一種のフィルターとしての作用がありますので、システムの周波数レスポンスを悪化させる原因とも成りえます。また、コネクターに接触不良があるとリニアリティーが損われてしまいます。

ケーブルによって音が異なるのは、DC 抵抗の相違や導体間のキャパシタンス、それにコネクターの接触などによるものであることはほぼ科学的に説明されていますが、導線に使われる素材による効果の違いの理論はまだ確立していません。一般に材質による音の違いは、DC 抵抗の差による音の違いよりも少ないようです。しかし、良いシステムを使った場合にはケーブルに使われている素材による音の違いを聞き分けることは非常に容易です。このことはダブルブラインドテストでも証明されています。ケーブル交換によって音の改善が出来るかどうかはシステム依存性の高い問題です。あるシステムで効果のあったケーブルが別のシステムでは効果がない場合もあります。実際に試してみるより方法はありません。

一般的に言って、スピーカーケーブルの価格帯は、普及品( 1m/3.3 ドル以下)、中級品( 1m/20 〜 26 ドル以下)、高級品( 1m/330 ドル以下、それ以上のものもある)に分類されます。ですから実験を行うためには数百ドルの投資が必要になることを覚悟して下さい。
また、実験を行うときは、同じコネクターを使うようにして下さい。

スピーカーケーブルコネクターの接続がしっかりしていることは非常に重要です。スピーカーは非常に低いインピーダンスで駆動されますので、接続がしっかりしていないと接触抵抗などの増加によって悪影響を受けます。接続部分に 1 オームの抵抗があると、スピーカーのダンピングファクターが変化してしまい低音の再生に重大な影響を与えます。また接点のサビはダイナミックレンジの減少、歪みの増加、リニアリティーの悪化などの原因となります。

ケーブルに関する雑誌は数多く出ていますが、ここでは一冊だけ推薦しておきます。

	"Speaker Cables: Testing for Audibility"
		Fred E. Davis
		Audio, July 1993, pgs. 34-43

16.2 スピーカーケーブルにはどんなものがあり、どれがお薦めですか?

スピーカーケーブルには色々なものがあり、値段も 1m/1 ドル以下のものから、1m/1000 ドル以上のものまで売られています。素材は主に、銅、無酸素銅(OFC)、銀、が使われています。

OFC の音は普通の銅と基本的に変わりません。音の違いは素材の違い以外の要素によるものです。もし 2 つのケーブルの間に音の違いがあったとしても、それは素材によるものではありません。

スピーカーケーブルにとって最も重要なのは抵抗です。抵抗値の違いは音にはっきりと影響を与えます。金属の抵抗値は抵抗率で表すことができます。銅の抵抗率は 1.7 マイクロオーム/ cm です。銀は銅よりもわずかに低く、1.6 マイクロオーム/ cm です。金は少し高く、2.4 マイクロオーム/ cm です。

銀と金は抵抗率以外の点で銅と異なっています。金は錆びにくく酸化物を発生しないので、接触面の定期的な清掃を必要としない長所があります。銀は錆びますが、銀の酸化物は伝導性ですので接触不良を起こしにくい特徴があります。銅は錆びやすく、また、銅の酸化物は不導体ですので接触不良の可能性があります。したがって銅をケーブル端子に使用するのは良くありません。もちろん、普通の電線には防錆処理がされていますので、ケーブルそのものの材質として銅を使用することは全く問題ありません。

16.3 コスト・パフォーマンスの良いスピーカーケーブルはどれですか?

ケーブルの直径は AWG 又はは BS ゲージ番号という規格で表されています。数字が大きいほど細いケーブルを表します。AWG 40 は人間の髪の毛と同じぐらいの直径です。AWG 12 は直径 2mm です。ケーブルにはソリッド(単線)のものと、細い導線を束ねた撚り線に分類されます。撚り線はソリッドのケーブルよりはるかにフレキシブルです。ほとんどのケーブルは銅を素材としています。OFC ケーブルは製造過程の工夫によって作られたものです。OFC は普通の銅よりも整った分子構造を持っていますが、電導率が優れているかどうかは一概に言えません。

何人かの評論家は、家庭用配線に使われている「 Romex 12-2 」のような、直径の大きい硬い銅線が優秀であると報告しています。また、ある専門家はラジオ・シャックで売られているた普通の 18 ゲージのソリッド銅ケーブルが大変効果があると言っています。MCM エレクトロニクスの Sound King wire も好評のようです。このケーブルは 12 ゲージの普通の OFC ケーブルで、0.39 ドル/フィートで売られています。

細いケーブルが太いケーブルより抵抗が大きいことは科学的に証明されています。したがって太いケーブルは抵抗による影響がより少ないと言えるでしょう。ケーブルを長く引き回す場合には最低でも 12 ゲージのケーブルを使うことをお薦めします。抵抗、キャパシタンス、インダクタンスなどの点で最も理想的なケーブルは長さが 0 のものです。ケーブルは常に短いほど良いことは間違いありません。

16.4 コスト・パフォーマンスの良いスピーカーコネクターはどれですか?

最も悪いコネクターはプッシュダウンや、スプリングターミナルです。ねじ込み式の端子にソリッドな銅線を固定するタイプはずっと良いです。金メッキのスペード端子は非常に安定していますし、安価なので愛好家の標準になっています。スペード端子はしっかりと締めつけることができるので、接触面の電気抵抗も低く抑えることができます。

金メッキのバナナプラグとジャックも非常に良いスピーカーターミナルです。良いバナナプラグはスペード端子より高価ですが、接触面が大きいことに加え、抜き差しが容易な利点があります。バナナプラグは定期的に腐食とバネの強さをチェックしなければなりません。Monster 社からはセンターピン付きのバナナプラグコネクターが販売されており、これは普通の金メッキバナナプラグよりも接触が良くなるように工夫されています。ただし価格は少し高く、ペアでおよそ 25 ドルします。

金メッキされたコネクターは他の材質のコネクターよりも優れています。これは 2 つの理由のためです。まず、金は非常に不活性な性質を持っており、化学薬品や水分に冒されにくい特徴があります。第二に、金は非常に柔らかなので接触面を広く保てる特徴があります。したがってコネクターにはできるだけ金を用いるべきでしょう。

コネクターの腐食は音に影響を与えます。金メッキのターミナルとコネクターは比較的腐食しにくいと言えます。コネクターが腐食した場合には、コネクターを何度か抜き差ししたり、消しゴムで接触面をこすったり、あるいは Cramolin や Tweek のような接点復活材を使うことによって緩和することができます。接点復活材を使う時は説明書を良く読んで、接点以外の部分にかからないように注意して下さい。

16.5 機器間(アンプと CD プレーヤー間など)のケーブルはどんなものがよいですか?

ラインレベルのケーブルはスピーカーケーブルより小さい信号を扱います。通常のラインレベルの電圧は -2V 〜 +2V ( CD アウトプット標準)程度で電流もマイクロアンペアオーダーなのに対し、スピーカーケーブルではやや大きいパワーアンプを使った場合、電圧で -70V 〜 +70V、電流は数十アンペアも流れます。ラインレベルのケーブルにはシングルエンド(アンバランス)接続ケーブルと、バランス接続ケーブルの 2 種類があります。家庭用オーディオではほとんどアンバランス接続ケーブルが使われています。

アンバランス接続ケーブルでは殆どの場合、RCA コネクター(フォノプラグ)形式が使用されています。RCA コネクターは時間の経過と共に腐食したり、バネが弱まって接触が悪くなる欠点があります。腐食は金メッキを使えばある程度防ぐことが出来ますし、機械的な問題はロック付きの RCA コネクターを使えばある程度防ぐことが出来ますが、これらのプレミアム RCA コネクターは高価です。例えば、Vampire のロック付き金メッキ RCA プラグは、約 23 ドル/ペアもします。本当は違うものを推薦したいのですが、残念ながら RCA コネクターはすでにデファクト・スタンダードとなっています。

アンバランス接続ケーブルは形状や材料によって色々な価格のものがあります。安いケーブルは通常撚り線でできた一本の芯線とシールドとで構成され、1m 当り 60 セント〜 6 ドル程度です。中級ケーブルでは 2 本の芯線をツイストペアとしたものにシールドを施したものが主流となっており、1m 当り 9 〜 60 ドル程度です。高価なケーブルでは本当に様々な形状や材質が用いられています。例えば銀の芯線や、リボン状に編みこんだ芯線、凄いものになると水銀をチューブに封入したものまであります。価格は 1m 当り 600 〜 900 ドル程度で、ものによってはさらに高価な物もあります。

バランス接続ケーブルは 3 つの芯線で構成されています。2 本が信号、1 本がグランド、そしてさらにシールドが施されています。バランス接続ケーブルの標準コネクターは、機械的に優れた ITT /キヤノン XLR コネクター(ロック付き)です。同等のコネクターは Switchcraft、Neutrik 等のベンダーからも販売されています。もし 4 メートル以上のケーブルを使うのなら、ノイズを防ぐためにバランス接続ケーブルを使うことをお薦めします。バランス接続ケーブルは機械的接続性とノイズ防止に優れているので、スタジオ、PA、放送局などのプロ用設備では標準となっています。バランス接続ケーブルにはあまり多くの種類はありません。前出の 3 つの商標は頑丈で、高品質、且つ、妥当な価格で販売されています。輸入コネクターもありますが、かなり高価です。良いコネクターは分解/組み立てが容易で、コードの交換が容易にできるようになっています。

多くのシステムにとって最も大事な事は、コネクターの機械的な信頼性です。接合部にはコネクターとケーブルの間の結合部とコネクターとソケットの間の 2 つがあります。また、機器間のケーブルは短い程よいのですが、一般に販売されているケーブルは 0.5 メートル単位になっていますので、場合によっては自作したほうが好結果を生む場合があります。非常に良いシステムを使えば、人によってはケーブルのブランドによる音の相違に気がつくことがあります。ただしどのケーブルが良いかは非常にシステムに依存します。実際に試してみる以外に良い方法はありません。ディーラやメーカーによってはケーブルの貸しだしを行っている所もありますので、これを利用するのは良い方法です。

通常のケーブルではシールドは片側端だけがグランドに落されています。各コンポーネントのグランドレベルには差がありますのでどちら側にケーブルを接続するかによって相違を生じるかも知れません。一般には信号ソース側の機器にグランドを取ります。ケーブルによっては矢印などで方向を指定したものもあります。いずれにしても両方の方向を試してください。

ケーブルによる音の違いは、RCA コネクターの非線形の特性、信号ソースとドライバの相互作用などによるものです。また、導体間のキャパシタンスや抵抗、シールド線の品質によっても音は変わります。バランスケーブルではシールドの中の「ツイストペアケーブル」の品質は重要です。シールドは磁界干渉を防ぐ効果はないと言われていますが、実際にはバランスケーブル内のツイストペアケーブルには若干磁気干渉を防ぐ能力があります。スチールコンジット(訳者注:金属管のことか?)は磁気干渉を防ぐには好適ですが、一般にオーディオに使用するには問題がある特性を持っているので、スチールコンジットの使用は避けたほうが賢明です。

16.6 フォノ入力のケーブルはどんなものがよいですか?

フォノケーブルはターンテーブルのカートリッジとプリアンプ(あるいはヘッドアンプ)を接続するものです。ここを流れる信号はラインレベルに比べてずっと弱く、一般に 1 〜 50 ミリボルト程度です。またこのケーブルはカートリッジを含めてより高いインピーダンス、一般に 47K オームのキャパシタンスとして設計されています。

信号レベルが低いと言うことは、シールドや、ドレイン/シールドの分離がいっそう重要であるということになります。したがって、グランドの線は独立/分離しているほうが望ましいと言えます。
また、低い信号レベルでは非直線性の影響を受けやすいので、コネクターの接続をしっかりとすることはよりいっそう重要です。

ラインレベではケーブルのキャパシタンスはあまりシビアな問題ではありませんが、フォノケーブルでは大きな影響を与えることがあります。場合によってはケーブルのキャパシタンスはカートリッジからの全体のキャパシタンスの 2 分の 1 にもなります。ケーブルのキャパシタンスが違うと明らかに音は違ってきます。また、適性なキャパシタンスはカートリッジによって異なるため、厳密にはカートリッジの種類に応じてケーブルを変える必要性があります。

低インピーダンスカートリッジ( MC カートリッジ)では、周波数依存の信号損失が発生しないようにするために抵抗値の低いケーブルを使う必要があります。また、MC カートリッジは出力信号レベルが非常に低いので、シールドはとても重要です。

銅シールドには漂遊磁界を遮る能力がありませんので、ハムを防止するためにはフォノケーブルの取り回しは電源ケーブルからの干渉を防ぐように注意深く行なわなければなりません。

16.7 デジタルケーブルの種類による音の違いはあるのでしょうか?

CD トランスポートと DAC をつなげるデジタルケーブルには 3 種類あります。同軸(コアキシャル)、プラスチックファイバー (Toslink)、グラスファイバー(AT&T ST) です。理論上、これらのケーブルは全く同じビット伝送を行なうはずですので、音の違いは生まれないはずです。しかしこれは理想的な環境下での話しであり、実際には電子ノイズなどの影響により、DAC のクロックリカバリに影響が発生することがあります。影響される程度はコストの制限や設計によって変化します。
メモ: プラスチックとグラスファイバーでは異なる信号方式が使われています。

いずれにしても、現実にデジタルケーブルによる音の違いに気がついている人は少なくありません。多くの人はグラスファイバーの方が音が良いと主張しているようです。しかし、家庭用エレクトロニクスにおける高速デジタルデータ伝送の技術は非常に速く進歩しています。ですから、技術が成熟するまでの間はどのような説も疑ってみるべきでしょう。

16.8 ケーブルを自作すれば良いものは出来ますか?

はい。100 ドルもするような高級ケーブルに匹敵するようなものを作ろうとすると難しいですが、セットに付属してくるような 2 ドルのケーブルよりはるかに良いものが簡単に自作できます。

ケーブルの自作を行なうには 2 心線のシールドケーブルと RCA コネクターを用意します。良いケーブルに求められる条件は沢山ありますが、一般にキャパシタンスは低いほど良いと言えます。絶縁体の選択は難しい所です。一般にはポリエステルやゴムよりも、ポリプロピレンやテフロンが良いといわれていますが、これも一概には言えないようです。お薦めできるのは、Belden の 1192A マイクロホンケーブルです。このケーブルの絶縁体はゴムですが、大変フレキシブルで使い勝手のよいものです。ただしこれは電子部品の商社経由でないと入手が難しいかも知れません。また、同じ Belden の 8451 も推薦できます。これはフォイルシールドを用いたポリプロピレンケーブルです。最後に、同じく Belden の 89182 を推薦しておきます。これはフォイルシールドを用いたテフロンケーブルで、非常に低いキャパシタンスが特徴です。もし長いケーブルを作るのなら、この低容量ケーブルは最も良い選択だと思います。

また RCA コネクターにも色々なものがあります。誤差の少ない金メッキコネクターが良いでしょう。良くないコネクターは時間と共に弾力性を失ってフィットが悪くなり、結果としてさびが発生したり、接触抵抗が増えたりといった問題を発生します。

コネクターにケーブルをハンダ付けするときは、片側を信号線( RCA コネクターの先端)に、もう一方をグランド(シェルあるいは RCA コネクターの外部導体)に接続してください。

フォイルシールドを使ったケーブルははんだ付けが難しい難点があります。これらのケーブルは一般にはんだ付けする為のドレインケーブルが付いています。また、種類によっては編みシールドを使っているものもあります。

どのようなタイプのケーブルを使う場合でも、ケーブルの片側だけをグランドに接続して下さい。片側だけをグランドとすることで、シールドが拾ったノイズによるアースノイズの発生を防ぐことが出来ます。

RCA コネクターをはんだ付けするのはけっこう厄介な仕事です。ハンダがの盛り過ぎやケーブルがばらけたりしないように注意深く行なって下さい。そして出来上がったケーブルは一度テスターで同通チェックをし、抵抗値に異常が無いかを確かめてから使うようにして下さい。

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